徳島旅行
ディズニーリゾートを恨めしい目つきで闊歩する
みんながディズニーから帰る中、僕はバスターミナルに向かうのだ
僕の行き先は徳島
祖母に会いに行く
テキトーに辿り着いたところで、母親がバスについて尋ねている
僕はまるで他人事のようにそれを眺めていた
どうやら場所を間違えたようだ
タイムリミットは15分
過呼吸の予期不安に苛まれながら小走りで先ほど通った道を戻る
何とかバスターミナルに到着
チケットのコピーを忘れた云々で再びトラブル発生なのだが、どうにか乗せていただいた
初めての二階席だった
窓際をゲット
ラッキー☆
バスが巡る東京の街は細かく美しく、ドールハウスのようだった
僕は夜景の灯りの一つ一つに目を凝らす
こんなにも大きい建物の小さい灯の中で人が生活している様を想像すると何とも感慨深い
人とは何とちっぽけな生き物だろうか
睡眠導入剤を飲んだので少し眠たい
それでも東京の街を見逃す訳にはいかないのだ
ネオン、看板、奇妙な形をした建物……夥しい情報量ではあるが、少しでもそれを自分の手に取りたい
目紛しく変わる景色は飽きることがない
バスがトンネルに入る瞬間、囁やかなスリルを味わう
ビュービューゴーゴーと不穏な音と点滅するライト
面白い
気がついたら寝落ちしていた
休憩の停車で目が覚めた
足柄PAらしい
とりあえず外の空気を吸った
自分の乗ってきたバスを忘れて少し焦った
ここからは消灯時間らしい
空になったお〜いお茶を握りしめ、水の有り難みを知る
外の景色も真っ暗である
常夜灯と車のライトが唯一の灯
それらは濁った夜空で星を見つける瞬間の如く、僕を惹きつける
また闇の濃度が違っているのも見どころだ
薄ら明るい曇った空に比べ、大きく聳え立つ山は全てを吸い込んでしまいそうなほど暗いのだ
風景も特に変わり映えしないし、今日の徳島巡りに体力を温存しておきたいのでそろそろ実況を終えよう
恐らくまだ音楽を聴きながら外を眺めている事だろうが、おやすみなさい